取引プラットフォーム(取引ツール)は、トレードの基盤となる枠組みです。これについては、海外FXと国内FXとで大きく事情が異なっています。海外FXと国内FXのどちらが自分に合っているのかを判断する上で、両者の取引プラットフォームを見極めることはとても重要です。
簡単に両者の違いを表すと以下のように言えます。
国内FX・・・各業者が独自のプラットフォームを採用
この違いが利用者が取引するに際にどのような影響をもたらすことになるのか、見ていきたいと思います。
目次
海外FXではほとんどの業者がMT4
MT4ってどんなプラットフォームなの?
世界で最も使われているFXの取引プラットフォームであるMT4は、キプロスのMetaQuotesSoftware社が開発する「MetaTrader」シリーズの1つで、2005年に開発されました。
今なお約200の海外FX業者が採用し、世界で数百万人のユーザーが愛用していると言われています。まさに圧倒的人気を誇る最強の取引プラットフォームです。
MT4が最強と言われる所以は何なのか?
トレーダーが開発したインジケーターとEAが利用できる
MT4が世界で一番普及する最大の理由は、トレーダーが自らインジケーターやEAを開発することができ、しかもそれらが無料または有料で配布されていて、誰でも使えるという点でしょう。
ちなみに、「インジケーター」はチャート分析のためのプログラム。「EA」(エキスパート・アドバイザー)は自動売買のためのプログラムです。これらが、世界中のトレーダーたちによって日夜開発されており、ユーザーはそこから最良のインジケーターやEAを選んで取引をすることができるのです。
カスタマイズも自由自在
MT4は裁量売買をする際にも強い味方となってくれます。
MT4では、主要なインジケーターが網羅されていることに加え、未実装のインジケーターも簡単に作成しインストールできてしまうのです。
例えば、MT4は日本時間に対応できていない」とよく指摘されますが、これに対応する「日本時間表示インジケーター」などもすでに開発されています。だから、これをインストールすることで容易に解決できちゃうんです。
他にも、気になる箇所があれば、自分でコードを修正したり、別途インストールしたりすることで、快適に取引することができます。
海外fX業者を変えてもスムーズに取引再開できる
申し上げたとおり、MT4は海外FX業者約200社に採用されています。ユーザーが業者を変えたとしても、プラットフォームはMT4のまま。まったく違和感なくスムーズに取引を再開することができるのです。
ちなみに、後で紹介する国内FXの場合は、いちいち新たなプラットフォームに慣れる必要があります。
まだまだあるMT4の圧倒的利便性
このほかにもMT4は日本語を含む30言語に対応しています。そして、ソフトも軽くサクサク動く点もユーザーから喜ばれています。そして、なんとMT4は無料で利用できるのです。
海外FXトレーダーにとって、MT4はまさに「あって当たり前」でも「なければ困る」。そんな存在になっているわけです。
最新版MT5も開発されている
このように2005年以降、絶大な人気を誇っているMT4ですが、最新版のMT5も開発されています。
MT5では、スピードが最大20倍アップし、バックテストの性能も飛躍的に向上、時間枠の種類も増え、複数通貨や約定遅延などの検証機能もアップするなど、かなりのバージョンアップを果たしています。
しかし、海外FXの中にはいまだMT5に対応できていない業者も多いなどの理由から、まだまだ主流はMT4のままとなっています。
逆に言うと、最新版のMT5ですら太刀打ちできないほど、MT4の圧倒的利便性が認められるわけです。
自社開発を貫く国内fX業者
国内業者が自社開発にこだわる訳
MT4が世界を席巻している中で、日本では取引プラットフォームを取り巻く事情はまったく異なっていて、まさに「FXのガラパゴス化」とも言える状態となっています。
各国内FX業者は、それぞれが異なるプラットフォームを自社開発して、ユーザーに提供しているのです。当然、自社で開発するとなるとコストも相当かかることになります。
MT4という世界的に普及している定番プラットフォームがありながら、どうしてここまでして独自のプラットフォームにこだわるのでしょうか?
それには国内FXの独自の取引形態に理由があります。
国内はトレーダーが負けてなんぼの呑み取引
国内FX業界では、呑み取引(相対取引・店頭取引)が主流です。
この場合、トレーダーが多く負けるほうが、FX業者にとってはより大きな利益を得られることになります。そして、そのような取引を進めるためには、自社開発のプラットフォームでブラックボックス化させておく方が好都合ということになります。
そういった理由から、国内FX業者はMT4を導入するより、コストが数百倍かかったとしても、取引プラットフォームの自社開発を貫いているのです。
自社開発ってトレーダーにとっての使い心地はどうなの?
取引にはいくつかの制限がかかる
MT4では、インジケーターやEAが数多く開発・配布され、カスタマイズも自由自在であることを紹介しました。国内業者もインジケーターの実装には積極的ではありますが、基本的に既存のものを各業者ツールの制限内で使用することになるので、快適性はMT4には劣ることになるでしょう。
自動売買についても、国内でも提供している業者はいくつかあります。ただし、利用にあたって手数料が必要であったり、通常より広いスプレッドをかけられたりと、難点が多くなってしまいます。
業者を変えるごとにプラットフォームに慣れなければならない
国内FX業者を変えると、取引プラットフォームもがらりと変わることになります。そのたびに新たなプラットフォームのルールや設定方法を習得しなければならないということになります。
どれだけ業者を変えてもMT4を使い続けられる海外FXの快適さと比べると、格段に不便さを感じざるを得ません。
MT4を採用する国内業者もチラホラと
国内FX業者にも、MT4を採用する所がいくつか見られます。しかし、まだまだ利用率はかなり低いのが現状です。さらに、MT4を採用する国内FX業者の中には利用制限を設けている所もあり、注意が必要です。
まとめ
海外FXと国内FXの取引プラットフォーム事情を見てきた結果、MT4を採用する海外FXのほうが利便性が優っていると言えるでしょう。
ただし、国内FXにもスプレッドの狭さや入出金のしやすさ、そして税制面などで優位性もあります。そのため、総合的な判断のもと、海外FXと国内FXを使い分けていくのがいいのではないでしょうか。