高いレバレッジをかけてより大きな利益を狙うことができる海外FX。魅力的ですが、気になるのはやはり税金ですよね。
結論から言うと、海外FXで取引していても、日本に住んでいる場合は一定額以上の利益に対して課税されることになります。ただし、海外FXは国内FXと税制度や税率が異なる部分がありますが、初心者にはより有利な点もあります。
また、せっかく利益を得た場合でも、税制度や節税方法を知っているかどうかで大きな差が生じることになります。
そこで今回は、海外FXにかかる税金の内容と、賢く節税する方法について解説します。海外FXを始める予定のある方、海外FXの税金について詳しく知りたい方は是非最後までご覧ください。
目次
海外FXと国内FXの税制上の違い
冒頭でも書いたとおり、海外FXで利益を上げた場合もきちんと税金を支払う必要があります。課税対象となるのは、給与所得がある人は年間20万円以上、給与所得がない人は年間38万円以上の利益が出た場合です。納税は確定申告によって行います。
また、海外FXと国内FXでは、利益にかかる税金の種類が異なります。そして、これによって節税の対策も違ってきますので、ポイントを抑えておきましょう。
税率 | 課税制度 | |
国内FX | 一律20% | 申告分離課税 |
海外FX | 所得額によって異なる | 総合課税 |
国内FXに関わる税制
国内FXの税率は、利益額の大きさに関わらず一定です。また、給与所得などと合算せずに国内FXの損益だけで課税額を算出する「申告分離課税制度」が採用されています。
さらに、他の金融商品との損益通算ができる場合があり、損失が出た場合は最大3年間の繰越控除を受けることができます。
海外FXに関わる税制
海外FXには、所得額が大きくなるにつれて税率も高くなる超過累進税率が採用されていて、大きな利益が出た時は最大55%の税率がかかります。ただし、利益が小さい場合には国内FXの税率よりも有利となります。
また、海外FXの場合は「総合課税制度」のもとで、その利益は給与所得や不動産収入などあらゆる所得と合算して課税金額を計算できます。
所得による税率と控除額
所得金額 | 税率 | 控除額 |
〜195万円 | 15% | 0円 |
195万〜330万円 | 20% | 97,500円 |
330万〜695万円 | 30% | 427,500円 |
695万〜900万円 | 33% | 636,000円 |
900万〜1,800万円 | 43% | 1,536,000円 |
1,800万〜4,000万円 | 50% | 2,796,000円 |
4,000万円〜 | 55% | 4,796,000円 |
※税率は、所得税に住民税10%を加えたもの
海外FXの節税方法
経費に計上できるのはコレだ
最も効果的に節税をする方法は、経費の計上によって利益を下げることです。
FX取引ではそれほど多くの経費を伴うことはありませんが、それでも経費に計上できるものはあります。これらを見逃さずに計上していきましょう。
海外FXで経費として計上できる可能性のあるものの例
セミナー・DVD | 光回線・WiFi | プロバイダー | 会食費用 |
有料メルマガ | 電話料金 | 光熱費 | 海外渡航費 |
書籍 | 文具・事務用品 | 机・椅子 | 家賃の一部 |
新聞代 | VPSサーバー | 照明 | 取引手数料 |
有料インジケーター | PC・プリンター | テレビ | 送金手数料 |
有料EA | オフィス等 | 英会話費用 | クレジットカード年会費 |
経費計上の条件は「FXのために利用したもの」
上の表に、海外FXで経費として計上できるものの例を記載しました。ただし、これらを経費とするための条件として、「FXという事業に利用したもの」である必要があります。
例えば、海外渡航費について、「XM本社の見学」でキプロスへ行くという目的であれば、経費として計上することができます。会食も、「FXの勉強会」という目的ならOKです。
ただし、これらが「FXのための経費であること」を記録しておかないと、税務署に経費として認められない場合があります。例えば、勉強会のレジュメやメモ、セミナーの案内状、当日のスケジュールなどをきちんと残しておきましょう。
家賃を経費に計上
FX取引をするのが自宅である場合、自宅の家賃等の一部も経費として計上することができます。
賃貸物件 | 家賃の一部を経費として計上できる |
持家 | 自宅の減価償却費等の維持費用の一部を経費として計上できる |
ここで言う「一部」とはどういうことなのでしょうか?
ここでは、自分が自宅にいる中で「どれくらいの割合の時間と面積をFXに費やしたか」という事業使用割合に、家賃を乗じて経費が算出されることになります。
また、持家に住んでいる場合は、固定資産税、減価償却費、火災保険料などのコストを合算し、事業使用割合を加味して経費が算出されます。
ただし、住宅ローン控除を利用している場合は、経費として計上すると当該控除が受けられなくなるので注意してください。(事業使用割合が10%未満の場合を除く)
所得控除を利用する
控除制度を利用することも有効な節税方法です。社会保険料や医療控除、配偶者控除などがその代表的なものです。また、iDeCo(個人確定拠出年金)は掛け金の全てが所得控除の対象になるので効果的に組み合わせましょう。
給与所得のない人なら、FXを事業として法人を設立するのが最も効果的な節税対策となります。これにより、経費計上の範囲が、個人の場合よりもかなり広がるからです。
また、FXだけで法人から役員に報酬を支払うことで、給与所得分を節税することができます。
例えば、生計を立てている投資家に840万円の年収があった場合、法人化して、利益を全て役員報酬として支払うことで、204万円分が給与所得控除の対象とすることができます。さらに、自分だけでなく配偶者も役員にすると、2人でより多くの控除を受けることができるのです。
ただし、法人化すると法人設立のコストが20万円ほど、地方税が毎年7万円ほど発生することになります。
また、役員報酬の額は一定である必要があります。FXの利益を毎年同じ額にするのは難しいので、ある程度大きな利益を安定して稼げる方に、法人化は適していると言えます。
雑所得内で損益を相殺
雑所得内であれば、その年中に生じた損失は内部通算することが認められています。
ですから、雑所得内であれば、海外FX同士の損益はもちろん、それ以外の所得も相殺できるのです。
ボーナスを活用した節税方法
また、海外FXの大きな魅力である豪華なボーナス。これも節税に活用することができるのです。例えば、海外FX会社によっては、入金時に100%のボーナスがもらえることがあります。このボーナスを証拠金として損失が発生した場合、他の海外FX会社での損益と通算することで、課税対象額を低くくして税率をおさえることができます。
なお、ボーナスは利益としてカウントされないので、課税対象となりません。ボーナスを資金として運用すれば節税にもつながります。こういった点は、海外FXならではのメリットと言えますよ。
まとめ
以上のように、海外FXでの税金対策と節税方法を見てきました。
注意しなければならないのは、FXで利益を出した場合、納税は義務であることです。これを脱税してしまうと、経済的なペナルティが課されることに加え、場合によっては懲役刑を課されてしまうこともあります。ですから、利益を出した場合はきちんと納税するようにしましょう。
脱税は違法ですが、節税は合法です。今回紹介した節税方法を駆使してみてください。