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アービトラージとは?
アービトラージとは、同じ価値を持つ商品が一時的な価格差を生じた際に、高いほうを売り、安いほうを買うことで理論上のリスクを抱えずに利益を出そうとする取引を言います。
FXにおいては、通貨間や業者間の価格差を利用して「さや取り」をする取引で「裁定取引」「スプレッド取引」とも言われています。
- レイテンシーアービトラージ
⇒複数のブローカー間に生じる価格差を利用して利益を上げる方法
- スワップアービトラージ
⇒スワップポイントを異なる業者間で鞘取りして利益を上げる方法
- トライアングルアービトラージ
⇒3つの通貨ペアの相場価格の差で利益を上げる方法
の3つに分類されます。またそれ以外にも「ボーナスアートビラージ」というものがあります。
アービトラージの種類と違法性
①レイテンシーアービトラージ
トレーダーが異なる2つの業者間の価格非効率性(時間差によって生じる価格の差分)を狙って利益を出そうとすることです。
複数の業者を利用すると、それぞれのサーバーの設置場所やトレードする場所などが違うので、業者によってはわずかに表示が遅延することが発生します。そのほんのわずかな遅延を拾って売買する手法です。
これだけ聞くと、良いこと尽くめに聞こえますが実際には多くの問題があります。
まず、その「わずかな差」を常に目で見て検知することはほぼ不可能です。そのため、例えばMT4などのEAを活用し、その差を拾うようなシステムを組み込む必要があります。
また、FX業者はこのレイテンシーアービトラージを歓迎しておらず、業者によっては明確に禁止行為として定義しているところもあります。そういったルールを知らないでレイテンシーアービトラージを行うと、最悪の場合口座凍結などにも発展してしまうので注意が必要です。
②スワップアービトラージ
スワップアービトラージとは、複数の海外FX業者のスワップポイントの差を利用した取引です。アービトラージは同じ通貨ペアに対して買いポジションと売りポジションを同時に持つ「両建て」が基本です。
両建てなのでレートによる為替損益はゼロになりますが、むしろスプレッドコストがかかるため実質はマイナスになります。しかし、そのスプレッドのコスト以上に「スワップポイント」が入れば、その分を利益とすることができます。
例えば、ある通貨ペアにおいて海外FX会社Aは買いポジションで100円のスワップポイントを、会社Bは売りポジションで-95円のスワップポイントが発生した場合、この差し引き10円のスワップポイントが入ってくる計算になります。
この手法はメリットも多いですが、もちろんデメリットもあるため、口座凍結や資金不足などが発生しないようにしっかりとした運用が必要になります。
スワップアービトラージのメリット・デメリット
- 為替変動リスクがないので高レバレッジ運用ができる
- スワップを着実に稼ぐことができる
- 運用難易度が低い
- 細かな資金管理が必要になる
- 海外FX業者によっては口座凍結リスクがある
- スプレッド損失の回収に時間がかかる
③トライアングルアービトラージ
トライアングルアービトラージはとは、3つの関連する通貨 ペア間の市場の非効率性を利用して、そこで発生する純利益を相殺する取引を指します。
リスクがない分、必ず勝てるという紹介をされていることも多いですが、現在はそこまで大きな価格差もなく、かかる手数料などを考えると逆にマイナスになる可能性もあります。
また、そういった価格差が発生する頻度はそれほど高くないため、常にその一瞬を見逃さずに取引をする必要があるため、実行の難易度は高いとも言えます。
トライアングルアービトラージのメリット・デメリット
- 送金変動によって生じるリスクが少ない(ほとんどない)
- 取引所が1か所になるため送金手数料がかからない
- 複雑な分析力を必要としない
- 価格差を調べるための自動計算ツールなどの設定が必要
- 手順が多いので素人がいきなり利益を出すのは難しい
- 取引回数が増える分、その分の手数料がかかってしまう
ボーナスアービトラージ
①ボーナスアートビラージとは?
海外FX業者が提供する様々なキャンペーンには、口座に入金するだけでボーナスが付与されるものがあります。その金額は業者によって違いますが、時には100%ボーナス(入金した金額と同額付与)されるケースもあります。
そんなボーナスにはいろいろな制限がありますが、そもそも基本的に出金することはできません。ボーナスを受けて口座資金が増えたとしてもその増額分を現金として出金することはできないのです。
また、口座資産は自分の口座とボーナス口座は別で設定されており、損失が発生した場合は自分の口座から使われていき、自分の口座の入金分がなくなると、次のボーナスが減らされている仕組みになっています。
しかし、ポジションをうまくとることで、出金できないボーナスを別の口座に移す方法もあります。
まず、ボーナス口座の業者と別の業者で、別々のポジションを取ります。
その後ボーナス口座がゼロになるまで放置しておくと、その時には別の口座はボーナス分を含めて利益が出ているという仕組みです。
その逆も然りで、ボーナス口座に利益が出てしまう場合、別の口座はゼロになります。もちろんボーナス口座ですので出金はできませんが、損はしていないためリスクはありません。
一見すると全くのノーリスクで利益を上げることができる夢のような方法ですが、このボーナスアービトラージは明確に禁止されています。
②海外FXではボーナスアービトラージは禁止されている
ほとんどの海外FX業者ではボーナスアービトラージは禁止されており、発覚した場合は口座凍結や利益の取り消しなどのペナルティがあります。
一見、異なる海外FX業者で両建てしているのでバレないと思われがちですが、海外FX業者の多くはMT4やMT5といったプラットフォームを利用しており、IPアドレスなどで発覚する場合や、業者同士が共有する情報を突合させることで発覚するケースもあるようです。
ネットワーク環境は常に刷新されており、IPアドレスで発覚することを逆手にとって、同じ場所にいても別のIPアドレスを複数使うという方法を用いるなど、違法者と業者の間でのいたちごっこになっている様相もありますが、そもそも明確に禁止されているのでボーナスアートビレージは行わないことが重要です。
また、ボーナスアービトラージはボーナスが入ってくる最初の1回だけしか利用できず、大きな利益が狙えるものでないため、大きなリスクを承知であえてボーナスアービトラージに挑戦するよりも、許容されているほかのアービトラージの手法を模索するほうが得策といえます。
まとめ
- アービトラージは複数通貨、業者などを両建てすることで発生する差額を利用する取引方法
- 両建てするので取引きリスクは発生しないが大きく利益を上げることもできない
- アービトラージには「レイテンシー」「スワップ」「トライアングル」の3種類がある
- それ以外の「ボーナスアービトラージ」は海外FXでは禁止されている