レバレッジなどの特徴を活かして、少額から大きな利益を狙えるFX。そこで気になるのは、「FX取引で利益を出した時も、税金を納める必要があるの?」ということ。
結論から言うと、FXでも納税は義務です。
しかし、様々な方法でこの税負担を軽減することが可能になります。
そこで今回は、FXに関する税金対策と節税方法をご紹介します。FXに興味がある方、できるだけ税負担を減らしたい方は是非参考にしてみてくださいね。
FXでも納税しないといけない
FXは、取引所FXも店頭FXも申告分離課税です。
また、株式の特定口座のように源泉徴収制度がないため、利益が出た場合は原則として確定申告が必要となります。
FXの利益とは、為替差益(売買時の為替の違いにより得られる利益)とスワップポイント(売買時した通貨の金利差により得られる利益)を指します。
また、FXの利益は雑所得となり、税率は20%(所得税15%+住民税5%)で、利益額の大きさに関わらず一定です。申告分離課税制度となるため、給与所得などと合算せずにFXの損益だけで課税額を算出できます。
さらに、他の金融商品との損益通算ができる場合があり、損失が出た場合は最大3年間の繰越控除を受けることができます。
節税法① 経費を計上
経費に計上できるのはコレだ!
最も効果的に節税をする方法は、経費の計上によって利益を下げることです。
FX取引ではそれほど多くの経費を伴うことはありませんが、それでも経費に計上できるものはあります。これらを見逃さずに計上していきましょう。
FXで経費として計上できる可能性のあるものの例
セミナー | 光回線・WiFi | プロバイダー | オフィス等 |
有料メルマガ | 電話料金 | 光熱費 | 家賃の一部 |
書籍 | 文具・事務用品 | 机・椅子 | ソフトウェア |
DVD | パソコン | 照明 | 振込手数料 |
新聞代 | プリンター | テレビ | 会食費用 |
経費計上の条件は「FXのために利用したもの」
上の表に、経費として計上できるものの例を記載しました。ただし、同じものであったとしても、経費として認められる場合と、そうでない場合があります。その条件となるのは、「FXという事業に利用したもの」であることです。
例えば、会食費用について、FX経験の長い人と「FXの勉強会」という目的で会食であるなど、「FXで利益を上げるため」の会食である必要があります。
なお、スプレッドは経費として認められませんので、ご注意ください。
家賃を経費に計上
FX取引をするのが自宅である場合、自宅の家賃等の一部も経費として計上することができます。
賃貸物件 | 家賃の一部を経費として計上できる |
持家 | 自宅の減価償却費等の維持費用の一部を経費として計上できる |
「一部」とはどういうことなのでしょうか?
自宅でFXをしているとは言え、生活もしているわけですから、家賃の100%が経費として認められるわけではありません。「自宅でどれくらいの割合の時間と面積をFXに費やしたか」という事業使用割合に応じて経費が算出されるわけです。
また、持家に住んでいる場合は、固定資産税、減価償却費、火災保険料などのコストを合算し、事業使用割合を加味して経費が算出されます。
ただし、住宅ローン控除を利用している場合は、経費として計上してしまうと当該控除が受けられなくなってしまうので注意してください。(事業使用割合が10%未満の場合を除く)
経費として認められるためのポイント
領収書やレシートはきちんと保管
FXの経費として計上するためには、確定申告の際に領収書やレシートが必要になるので、きちんと保管しておきましょう。電車などの交通費で領収書が出ない場合は、自分で明細を作っても構いません。例えば「名古屋駅から東京駅まで13000円」というふうに、きちんと記録しておきましょう。
「FXのため」であることをしっかり記録
ここでとても重要になるのが、これらが「FXのための経費であること」を記録しておくことです。例えば、勉強会のレジュメやメモ、セミナーの案内状、当日のスケジュールなどです。このような記録がない場合は、税務署に経費として認めてもらえない場合があります。
「このセミナーはFXとは関係ないので経費として認められません」というのは調査官の常套句。こう言われた時でもしっかりと説明できるように、セミナーとFXの関連性を記録し、また資料を残しておく必要があるのです。
また、領収書やレシートの空きスペースなどにもそのような記録を書いておくことは、非常に有効です。例えば、セミナーの領収書の裏に、「どこの主催で、誰が講師で、どのような内容のセミナーだったのか」ということを書いておくのです。
領収書に書き込むというと、「大事な領収書を汚してしまっていいの?」と抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし実際には、詳細をより具体的に記載して残しておく方が、経費として認められる可能性が高くなるのです。
節税法① 法人化する
給与所得のない人なら、FXを事業として法人を設立するのが最も効果的な節税対策となります。これにより、経費計上の範囲が、個人の場合よりもかなり広がることになるのです。
また、法人化により役員報酬が支払えることで、個人として給与所得控除を受けられることになり、その分だけ節税できるんです。
例えば、FXだけで生計を立てている投資家に500万円の年収があった場合、
- 個人のままだと ⇨500万円全額課税対象
- 法人化(収益全額が社長報酬) ⇨給与所得控除により、346万円が課税対象
このように法人化して、会社の利益を全て役員報酬として、社長である自分に支払います。すると、自分は個人として給与分に課税されることになるのですが、これが給与所得控除の対象となるのです。
つまり、法人から個人に給与として支給しただけで、実際には何もお金を使っていないにもかかわらず154万円も税金がかからなくなるということなんです。
しかも、自分だけでなく配偶者も役員にして報酬を支払うと、2人でより多くの控除を受けることができるのです。
また、給与にかかる税率は、所得が増えるほど高くなります。ですから、2人に所得を分けることで、より低い税率がそれぞれの給与に適用されることになり、節税となりのです。
法人化のデメリット
ただし、法人化すると法人設立のコストが20万円ほど、地方税が毎年7万円ほど発生することになります。また、役員報酬の額は一定である必要があります。
FXの利益を毎年同じ額にするのは難しいので、ある程度大きな利益を安定して稼げる方に、法人化は適していると言えます。
まとめ
以上のように、FXでの税金対策と節税方法を見てきました。
注意しなければならないのは、FXで利益を出した場合、納税は義務であることです。脱税してしまうと経済的なペナルティが課されることに加え、場合によっては懲役刑を課されてしまうこともあります。ですから、利益を出した場合はきちんと納税するようにしましょう。
脱税は違法ですが、節税は合法です。今回紹介した節税方法を駆使してみてください。