FXにおいて「ストップ狩り」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
実は、FXのストップ狩りは2つの意味で使われています。
しかし、この2つの意味を混同して使っている人も多いのです。
本来の意味は、以下の2つで分けることができます。
- FX業者が故意的に行うもの
- ヘッジファンドがトレード戦略として行うもの
これらは、それぞれ全く違う意味を持っています。
そこでこの記事では、以下の3点についてついて詳しく説明していきます。
- ストップ狩りのそれぞれの意味
- FX業界の流れの仕組み
- FX業者によるストップ狩りに合わないコツ
目次
FXストップ狩りには違法と合法の2種類がある
FXのストップ狩りには、FX業者が故意的に行うものと、ヘッジファンドがトレード戦略として行うものの2種類が存在します。
しかし、FX業者が故意的に行うストップ狩りは「不正な価格操作」であると言われています。つまり、違法行為に当たるわけです。
一方、ヘッジファンドがトレード戦略として行うストップ狩りは、投資手法であり合法です。
- FX業者が故意的に行うストップ狩り = 違法
- ヘッジファンドがトレード戦略として行うストップ狩り = 合法
1つ目のFX業者が故意的に行うストップ狩りとは、FX会社がレートを不正に動かして個人投資家に損切り注文をさせ、FX会社側の利益を生むことを意味しています。
それでは、まず初めにFX業者が不正を行う「ストップ狩り」について詳しく説明します。
ストップ狩りをするFX業界の仕組み
ストップ狩りについて説明をする前に、FX業界の仕組みについて説明します。
個人投資家はFX業者に口座を開設して取引を開始します。
そのFX業者は裏で、銀行などの金融機関と「カバー取引」をしています。
例えば、個人投資家がFX会社から円を売ってドルを買ったとします。これによりFX会社は「売りのポジション」に立つことになります。
カバー取引とは、FX会社が抱えた売りのポジションとしてのリスクを解消することが目的で行われます。
- 注文を出した個人投資家が利益を出したらFX業者は損失を出す
- 注文を出した個人投資家が損失を出したらFX業者は利益を出す
それでは、これを踏まえてFX業者によるストップ狩りについての解説をしていきます。
FX業者によるストップ狩りには2種類ある
FX業者によるストップ狩りにも2種類が存在します。
- 異常値によるストップ狩りの発生
- スプレッド操作によるストップ狩りの発生
少し詳しく説明します。
異常値によるストップ狩りの発生
FX会社が提示する為替レートに異常値が発生した場合に起こるストップ狩りのことです。
これは主にシステムトラブルにより発生するもので、故意ではないことがほとんどです。
例えば、FX業者Aが実勢レートと大きく離れたレートを提供することによって、A業者では損切りにあってしまう場合があります。しかし、B業者では損切りにあわなかった、ということが起こります。
頻繁に異常値が発生してしまう業者の信頼は落ちてしまいます。
現在のFX業界では競争率が高いこともあり、このようなFX業者は投資家から使われなくなるため、じゅうぶんな対策が施されていることがほとんどです。
優秀なFX業者しか残っていないので、可能性としては低いと思っていて大丈夫です。
スプレッド操作によるストップ狩りの発生
「スプレッドの操作」によるストップ狩りの発生が最も多いです。
スプレッドとは?
スプレッドとは、売値と買値の差のことを指します。
例えばアメリカドルと日本円の通貨を取引したい場合、売値が106.895、買値が106.898だったとします。
この差額は0.3銭で、取引をするトレーダーにかかる実質上の取引手数料が0.3銭となります。つまり「スプレッド0.3銭」と表せるわけです。
スプレッドの開きは大きいほど損であり、小さいほど得であることがわかると思います。
スプレッドとは言い換えると、手数料であるという解釈で良いです。
0.3銭は3円の1000分の1を意味するのでとても低い数値ではありますが、ほとんどのFX業者では最低取引単価を1,000通貨~10,000通貨としているため、実質的な取引手数料は1,000通貨の場合3円、10,000通貨の30円となります。
スプレッドはFX業者が自由に設定することができます。
レートはFX業者によって様々です。
FX業者はこのスプレッドを広げることによって、個人投資家の逆指値を刈り取り、その差額を利益とすることができるのです。
FX業者によるストップ狩りにあわないために注意すべき点
正直なところ、ストップ狩りにあわないかどうかは業者のスプレッド次第のため操作はできません。
そのスプレッド自体はFX業者が自由に決められるため、相場急変時にはFX業者間でばらつきがみえることが多いです。
よって、FX業者を選ぶ際には以下のことに気をつければ良いと言えます。
- スプレッドの差が狭い業者を選ぶ
- 相場変動時にもスプレッドの差が広がりにくい業者を選ぶ
- 名前の知れていない業者からは買わない
ヘッジファンドがトレード戦略として行うストップ狩りとは?
次に、合法である「ヘッジファンドがトレード戦略として行うストップ狩りについて説明します。
これはつまり、大口投資家が個人等の損切り注文を狙うことで大量の取引を仕掛けて、狙った方向に相場を動かすことを言います。
マーケットに出ているストップ注文を「狩り」に出る手法です。
ストップ注文(ストップロスオーダー)とは?
自分の予想に反して相場が突然暴落してしまったときに備えて、損失をストップさせるために行う注文(オーダー)のことです。
FX取引ではあらかじめ、購入した価格に対してどこまでであれば損失を出して良いのかを決めておきます。
例えば、1ドル110円で10万ドル購入したとして、100円までであれば損失を出しても良いと決定しておきます。
万が一、その決定した価格よりも下がった場合、その時点で自動的に決済の注文が出されるので「損切り」されます。
こうすることにより、損失を可能な限りおさえることができるので、投資家にとってはとても重要な決定であると言えます。
それでは実際にヘッジファンドがストップ狩りをする手法を説明します。
例えばアメリカドルの相場が100円~105円の間を行ったり来たりする「ボックス相場」であったとします。
その相場が100.10円まで下がってしまったとき、多くの個人投資家はまだ持ちこたえることを期待します。
しかし、100円を下回ってしまったときにはボックス相場が終わってしまっているので、それ以上に大きく下落することが予想されます。
そのため、個人投資家は100円や99.5円、それ以下でストップロスの売り注文をあらかじめ決定している人が多いはずです。
ヘッジファンドはそのタイミングを狙って売り注文を大量にマーケットに出して、相場を強引に下げようとします。
すると、100円以下でストップロスを設定していた個人投資家からの注文がマーケットに一気に流出するため、それがさらに相場の下落を加速させます。
ヘッジファンドはこれを一気に買い戻して、利益を再構築します。
これが「ヘッジファンドによるストップ狩り」です。
これはあくまでヘッジファンドがストップ狩りをするために大量の注文をしただけなので、悪いことをしたわけではなく「戦略」であると言えます。
しかし、実際は為替の取引高(流動性)が非常に厚いため、たとえ大口投資家であっても自由に為替の操作をすることは難しいです。
FXストップ狩りに合わないためには注意が必要
FX業者に夜ストップ狩りは違法であることに加え、個人投資家が寄り付かなくなっているため被害にあう心配は減ってきていると言えます。
新興FX業者に近づかないことだけを徹底しておけば、防ぐことができます。
ヘッジファンドによるストップ狩りについては、戦略を駆使して立ち向かう必要があります。
個人投資家が相場を操作することはまず不可能なので、変動について学んでいく必要があると言えます。